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[第1回]「PC」って、なんだろう? (2021年5月号 vol.25掲載)
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[第2回]ポストテンションと
プレテンション (2021年9月号 vol.26掲載) -
[第3回]ポストテンション方式の
「定着」 (2022年1月号 vol.27掲載) -
[第4回]プレテンション方式の
「定着」 (2022年5月号 vol.28掲載) -
[第5回]橋のかたち (2022年9月号 vol.29掲載)
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[第6回]橋の役割 (2023年1月号 vol.30掲載)
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[第7回]橋の名称紹介 (2023年5月号 vol.31掲載)
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[第8回]PC桁橋の断面形状 (2023年9月号 vol.32掲載)
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[第9回]プレキャスト工法の活用
(その1) (2024年1月号 vol.33掲載) -
[第10回]プレキャスト工法の活用
(その2) (2024年5月号 vol.34掲載) -
[第11回]プレキャスト工法の活用
(その3) (2024年9月号 vol.35掲載)
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[第1回] 「PC」って、なんだろう? (2021年5月号 vol.25掲載)
本誌『PCプレス』はもちろん、PC構造、PC橋、PC建築…いったい、このPCとはなんのことで、どういう特徴があるのでしょうか。
土木や建築の世界で「PC」と言えば、プレストレストコンクリート(PC=Prestressed Concrete)のこと。一般的によく知られている鉄筋コンクリート(RC=Reinforced Concrete)は、コンクリートに鉄筋を入れて、強度を上げたものです。しかし、構造物自体の重さや大きな力(荷重)が断続的に加わると、引張力に抵抗できずひび割れなどが生じる「弱点」も持ち合わせています。
その弱点克服を目的に生み出されたのがプレストレストコンクリート。緊張材(高い張力を持つ材料)を用いて、コンクリートにあらかじめ計画的に圧縮力(ストレス)を作用させることで、構造物に断続的にかかる引張力を打ち消し、強度をさらに上げたものです。ひび割れが発生しにくく、また発生しても残らなくなることで、水密性(内部に液体が流入しない性質)にも優れ、構造物のライフサイクルコスト低減を実現することができます。 -
[第2回] ポストテンションと
プレテンション (2021年9月号 vol.26掲載)前回ご紹介したように、プレストレストコンクリートとは、コンクリートにあらかじめ(プレ)圧縮⼒(ストレス)を与えることで強度を⾼めたコンクリートのことです。
プレストレスは、PC鋼材を引っ張って(この作業を「緊張」といいます)、コンクリートと固定して、緊張により伸びたPC鋼材が縮もうとする⼒を利⽤してコンクリートに圧縮⼒を与えます。
プレストレスの導⼊⽅法には、ポストテンション⽅式とプレテンション⽅式があります。の反⼒台(PC鋼材を⽌める台)の間に設置して、コンクリート打設前に緊張しておき、コンクリート打設後緊張⼒を徐々に弱めることでコンクリートにプレストレスを導⼊します。 -
[第3回] ポストテンション方式の
「定着」 (2022年1月号 vol.27掲載)コンクリートにプレストレスを与えるためには、引っ張られたPC鋼材がずれたり緩んだりしないように、コンクリートにしっかりと固定する必要があります。この方法を「定着」といいます。
ポストテンション方式の定着は、定着装置(定着具)を使って行います。PC鋼材の種類に応じてさまざまなものが利用されていますが、定着の方法そのものは、大きくクサビ方式とネジ方式があり、必要な緊張力や施工方法などによって使い分けられています。 -
[第4回] プレテンション方式の
「定着」 (2022年5月号 vol.28掲載)PC鋼材とコンクリートとの間には、コンクリートが固まる段階ですでに付着力が発生しています。さらに、PC鋼材としてPC鋼より線を用いることで、よりの方向がPC鋼材の軸線に対して斜めになり、コンクリートとのずれを拘束する力として働くことで、より強い付着を与えることになります。この2つの付着力によって、PC鋼線の緊張が十分な機能を維持できるようになります。
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[第5回] 橋のかたち (2022年9月号 vol.29掲載)
● 桁橋
桁を水平に架け渡した、最も基本的な橋の形状で、主に「単純桁橋」と「連続桁橋」に分けられます。また、主桁の断面形状によって、T桁橋、箱桁橋などに分けることができます。
● アーチ橋
桁橋の主桁にあたる部材を弓状(アーチ状)に反らせて主構とする形の橋です。橋脚の設置が難しい渓谷などの地形条件に適していて、中規模から大規模まで、適用範囲の広い構造形式です。
● ラーメン橋
ラーメン橋は、橋を構成している桁と橋脚とを一体化した構造形式を持つものを言います。
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[第6回] 橋の役割 (2023年1月号 vol.30掲載)
古代の人間は、おそらく倒れた木を使って丸木橋を作ったに違いありません。また、石橋も古くからあったという記録が残っており、証明できる最も古い石の桁橋は、紀元前1700年前にエジプトの技術者によって作られたものと言われています。
古代の日本語である「大和詞」によると、はし(橋)は「端と端を結ぶもの」であり、人や物を上下、あるいは横へ移動させるための施設として捉えられていたようです。 -
[第7回] 橋の名称紹介 (2023年5月号 vol.31掲載)
橋は、自動車などの荷重を直接支持する部分(一般に「桁」と称する部分)を上部構造、上部構造を支え、支持地盤に荷重を伝える部分(橋脚および橋台)を下部構造と呼びます。
上部構造を構成する主な部分には、床版、主桁、横桁があり、付属物として支承、落橋防止装置、伸縮継手(目地)、高欄、防護柵、排水設備、照明設備、点検設備があります。
床版は自動車や列車を直接支持する部分で、主桁および横桁は床版を支持する役目をするものです。PC橋では、主桁の一部が床版を兼ねているのが一般的です。
上部構造の伸縮など、変形を円滑に機能させる目的で下部構造との間に設けるものに支承があります。支承は沓(シュー)とも呼ばれ、上部構造からの荷重をスムーズに下部構造に伝える重要な部分で、鋼製・ゴム製があります。 -
[第8回] PC桁橋の断面形状 (2023年9月号 vol.32掲載)
① 床版桁橋 / ② 版桁橋
1枚の板形状の版(スラブ)で人や車を支える構造。初期の頃から使用され、現在では支間を長くするために版にリブをつけた橋(②版桁橋)も採用されています。適用⽀間は25m〜45mです。プレテン桁の場合は5m~24mです。
③ 中空床版桁橋
中空床版橋は自重を軽減するために円筒型枠を桁内に埋設した床版桁の一種です。単純な構造で施工性に優れることから、床版橋で最も一般的に採用される断面形状です。通常は枠組式支保工や支柱式支保工を用いて施工します。 曲線橋や景観に配慮した場所に適しています。適用⽀間は20m〜30mです。
④ T桁橋
支間が長くなると床版橋では床版が厚くなり不経済となるため、桁と床版を一体化するためT型断面の桁が開発されました。適用⽀間は25m〜45mです。プレテン桁の場合は18m~24mです。
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[第9回] プレキャスト工法の活用
(その1) (2024年1月号 vol.33掲載)● プレキャストとは?
プレストレストコンクリート橋は、以下の2つに大別されます。
■ 場所打ちPC橋:
橋梁が架設される位置で、支保工または架設機材などを用いて直接コンクリ-トを打込み製作する橋
選定に際しては、架設地点の周辺状況(市街地、海岸、山岳など)、桁下状況(平地、鉄道上、河川上など)、支間長などのさまざまな条件により決定されます。
プレキャスト桁には、プレテンション桁とポストテンション桁の2つがあります。
(『よくわかる! PC基礎講座②』参照)。 -
[第10回] プレキャスト工法の活用
(その2) (2024年5月号 vol.34掲載)●プレキャスト桁の製作
プレキャスト桁には、プレテンション桁とポストテンション桁の2タイプがあり、品質管理の行き届いたJIS工場または現地製作ヤードで製作します。
●プレキャスト桁の運搬
工場で製作されたプレキャスト桁はトレーラーで架設現場まで運搬します。プレテンション桁は1本の姿のまま、ポストテンション桁は一般的に3、5、7のセグメントに分割して運びます。
●プレキャスト桁の組立
ポストテンション桁は現場に搬入された複数のセグメントを組立ヤードで接合と緊張を行い1本の桁にしてから架設します。
●プレキャスト桁の架設
プレテンション桁は、トレーラーから直接クレーンで吊り上げて架設します。ポストテンション桁は組立ヤードで組み立てられた後、クレーンや架設桁を用いて架設します。
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[第11回] プレキャスト工法の活用
(その3) (2024年9月号 vol.35掲載)前号では、支間が概ね45m以下のプレキャスト桁製作・運搬・組立・架設(T桁、バルブT桁、コンポ桁、床版桁)について説明しましたが、今号では支間長が30~100mの橋梁で採用されているPC箱桁のセグメント製作について紹介します。製作方法はロングライン方式とショートライン方式があります。
●製作方法による分類
◾️ ショートライン方式
1セグメント分の底型枠を敷設してセグメントを1つずつ製作する方法で、一般的には、すでに製作されたセグメントの端面を型枠として、隣接したセグメントを製作するマッチキャスト方式と組み合わせて製作され、セグメントの接合面が高精度で、一貫した品質が確保されます。比較的狭い製作ヤードでも製作することができ、全体を覆う事ができるので天候に左右されることなく製作できます。