© 2023 JAPAN PRESTRESSED CONCRETE CONTRACTORS ASSOCIATION

TECHNICAL INFORMATION

技術情報

PC構造物の診断 ─ 耐荷力不足 ─

外ケーブル工法

・既設部材の外部にPC鋼材を追加配置し、緊張することにより所定のプレストレスを導入する。
・耐荷力の改善,向上を目的として使用され,PC構造物以外にもRC構造物や鋼構造物の応力改善などに適用される。
・予防保全としても事後保全としても多くの採用実績がある。

■留意事項

・既設部材への剛性の付与はできない。
・既設部材の応力状態を変化させるため,詳細な設計が必要。
・施工はプレストレストコンクリート技士などの技術者が行う必要がある。
・定着体の設置にあたり,部材の一部を削孔する場合は,既設のPC鋼材または鉄筋を傷めないよう,あらかじめ非破壊検査により鋼材位置を探査する。

※外ケーブル工法の適用に際しては、「外ケーブル方式によるコンクリート橋の補強マニュアル(案)[改訂版]」が参考にされたい。

外ケーブル工法施工事例

■(1)橋梁概要

1.構造形式:PC3径間連続箱桁橋
2.橋 長:99.570m
3.支間長:30.710+37.350+30.710m
4.幅 員:7.5m
5.竣工年次:昭和38年(1963年)
6.適用示方書:不明
7.対策年次:平成20年(2008年)

■(2)損傷概要

1.環境条件
内陸部に架橋されている橋梁で,建設当時では想像されなかった通行車両の大型化と交通量が年々増加している状況であった。
供用後約45年が経過していた。

2.外観変状
一部の区間ではコンクリートの曲げひび割れからと思われる遊離石灰が析出している部分があり,また,部分的にコンクリートのはく落による補修跡,漏水跡が見られた。

3.原因推定
復元設計(B活荷重)による応力確認において耐荷力不足が確認されており,また近年の車両大型化に起因する経年劣化等により,主桁のたわみも大きく,全体的な剛性低下が考えられた。

■(3)対策工

曲げひび割れを抑制して主桁剛性を改善する必要があると判断し,外ケーブル工法による補強を行った。
その他にも,ひび割れ部分の樹脂注入,上床版と主桁せん断に対する炭素繊維シート接着などの補強を行い,橋梁全体として耐荷力を向上させた。

炭素繊維プレート緊張工法

・既設部材に炭素繊維プレート緊張材を取り付け、緊張しプレストレスを導入する。
・緊張材が薄い為、補強後の外観形状、断面変化がほとんどなく建築限界などに影響しない。

■留意事項

・既設部材への剛性の付与はできない。
・既設部材の応力状態を変化させるため,詳細な設計が必要。
・施工はプレストレストコンクリート技士などの技術者が行う必要がある。

※外ケーブル工法の適用に際しては、「外ケーブル方式によるコンクリート橋の補強マニュアル(案)[改訂版]」が参考にされたい。

炭素繊維プレート緊張工法施工事例プレート

■(1)橋梁概要

1.構造形式:RC3径間連続箱桁橋
2.橋 長:63.586m
3.支間長:19.515+23.829+19.542m
4.幅 員:12.0m
5.竣工年次:昭和51年(1976年)
6.適用示方書:不明
7.対策年次:平成16(2004年)

■(2)損傷概要

1.環境条件
内陸部に架橋されている自動車専用道路の橋梁であり,供用後約28年が経過していた。都市内に流入する高速道路なので,交通量が年々増加していた。

2.外観変状
コンクリートの曲げひび割れが多く見られ,一部の区間では遊離石灰,鉄筋の腐食によると思われる錆汁も析出していた。また,部分的にコンクリートのはく落が見られた。

3.原因推定
桁側面から下面にかけて30cm程度の間隔で0.3~0.4mm程度の曲げひび割れが見られ,主桁のたわみも大きく剛性低下が考えられることから,近年の車両大型化に起因する耐荷力不足と経年劣化によるものと推定された。

■(3)対策工

曲げひび割れを抑制して主桁剛性を改善する必要があると判断し,ひび割れ部分に樹脂注入を行った後,炭素繊維プレート緊張材を緊張接着して,耐荷力を向上させた。

PAGE TOP